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苦悩の先に栄光は待っているのか?

レースにはいろいろな側面がある。そしていろいろなメカニズムが相互に作用している。マシンには数多くのハードウェアが組み込まれ、それをドライバーやエンジニアといったソフトウェアで利用する。だから何かひとつだけが良くなっても結果につながらない場合は多く、いろいろなものが絡み合ってこそ進化していくことができる。逆にたったひとつのことで大きく崩れてしまうこともある。
DTECチーム・マスターワンは、開幕戦から着実に少しずつ前進しているものの、ジャンプアップすることができずにもがいているような感じだ。細かなファインチューンを積み上げながら、さまざまなセッティングデータによってマシンを熟成させながら、しかし決定的なピースが見つからない。そんな感じになってしまっている。


前戦SUGOでは、オープニングラップでのアクシデントでスピン、大幅に順位を落としてしまった。しかし、そこから熱い追い上げを見せて、ゴールまでに見事にポジションを回復した。その鬼気迫る走りは、とても印象的だった。
だが今回の鈴鹿はそうではなかった。気温はとても暑かったのだが、76号車にはその熱が伝わることはなかった。12番グリッドからスタートした決勝レースは、混雑したオープニングラップで15位へとポジションをダウン。その後、オーバーテイクや他車のトラブルなどによって追い上げて、結局12位でチェッカーフラッグを受けた。
ドライバーズ・サーキットと呼ばれ、チャレンジングなコースとして世界的に有名な鈴鹿サーキット。確かに走れば面白いのだが、オーバーテイクは困難なのだ。SUGOのようには、簡単ではない。


レース序盤に混雑してしまうのは当然のこと、そこに巻き込まれると順位を落としたり、接近戦で接触してしまう危険性が高まってしまう。つまり、もっと予選の順位を上げなければ、望んでいるようなレース展開ができない、ということなのだ。
つまり1発の速さを生み出す必要がある。しかし、そうはいっても、そう簡単に速さを引き出せるわけではない。レギュレーションによってマシンに使えるアイテムは限られているし、そもそもマシン性能の共通化を狙ったワンメイクレースなのである。
単純に86/BRZレースのラップタイムが遅いからといって、比較的に容易だということはない。DTECチーム・マスターワンと坂本選手の進化に期待しよう。