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ついに2台揃って入賞を果たす!
マシンのセッティングも進化

 梅雨のない北海道のハズが、しかし86/BRZレースの第5戦の舞台、十勝スピードウェイは時折小雨が混じる曇天の空だった。もうすぐ7月だというのに、風が吹けば肌寒さを感じるような天気となってしまったのだ。
 今シーズンの86/BRZレースは7つのサーキットで開催されるが、十勝以外のサーキットではスーパーGTを始めとした全日本のシリーズ戦に組み込まれている。しかし十勝だけは例外で、完全なローカルサーキットとなる。コースはアップダウンがなく、中速コーナーが続くレイアウト。路面は荒れ気味で、表面がザラザラになった部分も多い。
 そうしたいくつかの特殊な情況に、しっかりと対応することが求められたわけだ。

 今回の十勝スピードウェイは、今シーズン初めて日曜日に予選・決勝を行うワンデーレースの設定で、午前中に予選、午後に決勝が行われた。エントリー台数は24台で、富士スピードウェイの3分の1程度だが、さすがに北海道は遠いということだろう。ちなみに地元北海道からのエントリーは1台だけだった。
 台数が少ないこともあり、予選はいつものように2組に分けられず、24台が同時に予選に突入した。76号車の菊地靖選手は1分37秒474というタイムを早々に出し、97号車の小河諒選手はいつものようにスロースターターだったが、周回を重ねて1分37秒481をマーク。2人のタイム差はわずか100分の7秒で、これは距離に換算すると1周3.4kmのコースを走って約25cmという差だ。
 2人のドライバーはマシンの持つポテンシャルを出し切った! と言っていいのかもしれない。しかしポールポジションの谷口信輝選手は1分36秒197のタイムをマーク、その差は今シーズンで最小とはいえ、まだまだ小さくない。
 菊地選手は予選12位、小河選手が予選13位という結果で、24台のエントリーのちょうど真ん中の予選順位ということになる。前戦の富士スピードウェイと同じく、並んでスタートすることになった。

決勝レースは14周。スタート時には、それまでハラハラと舞っていた小雨も止み、陽が差していた。24台のマシンはクリーンにスタートし、神奈川トヨタDTECチーム・マスターワンの2台も上手くスタートを決めた。オープニングラップでそれぞれ1つずつポジションを上げ、76号車菊地選手が11位、97号車小河選手が12位となった。
 そのまま2台のタンデム走行が続く。中速コーナーが多い十勝スピードウェイでは、オーバーテイクするのが難しい。前のマシンに追いつくことはできても、追い越すことは大きなタイム差がなければ困難なのだ。8周目には6位から13位まで、まるで連結されているかのように8台のマシンが数珠繋ぎでレースをしていた。
 トップ争いは1周目の第1コーナーで山野選手が谷口選手に並びかけた1シーンだけで、その後は谷口選手が後続を引き離し独走状態となった。その後方で4台のマシンが2位争いをし、8台のマシンが6位争いをしていた。10周目には9位を走行していた服部選手がタイヤの性能低下で大きくタイムを落し、グループから脱落。
 DTECチーム・マスターワンの2台は、結局10位と11位でチェッカーフラッグを受けた。優勝は谷口選手で、2位には山野選手が入った。
 ところがレース後の再車検で、4位でゴールした青木選手がタイヤの磨耗によって失格となり、DTECチーム・マスターワンの2台はそれぞれ順位をひとつずつ上げ、菊地選手が9位、小河選手が10位という結果となった。順位はともかく、2台のマシンが同時入賞を果たしたのは初。次戦以降、さらなる進化を期待したい。


Comment from Drivers

今回は決勝レースを見据えたセッティングをしてみました。その成果もあって、レース後半でも安定していたし、ちょっと抜くまでにはいかなかったけど、セッティングも見えてきたかな、というのはあります。問題は予選一発の速さで、もう少し前にいかないと表彰台は難しいので、対策をしてみたいですね。   1周レースペースは良かったんですけど、本当はもう少し速く走ることができたと思います。あと0.3秒速く走るとトップグループと変わらないタイムなので、もう少し上のポジションでレースすることができたと思います。予選の速さが課題なので、次の富士ではなんとか改善してみたいと思います。
#76 菊地靖選手 
予選12位 決勝9位
#97 小河諒選手 
予選13位 決勝10位